1 2012年7月9日から新しい在留管理制度がスタートしました。これまでの在留管理制度と何がどう変わったのか、基本的な変更点について数回にわたり解説していきます。
今回は、新たな在留管理制度のもと、外国人に交付されることになった「在留カード」について述べたいと思います。
2 2012年7月9日以前の旧制度である外国人登録制度においては、日本在留の外国人は、原則として、日本に在留することとなった日から一定の期間内に、居住している市区町村に身分事項や居住地等を届け出て外国人登録をする必要がありました。
それ以外に、日本に上陸する時や、在留資格を更新する時などには、入管法に基づいた手続きが必要となり、それにより、入国管理官署に当該外国人の情報が把握されていたわけです。
このように、これまでは、入管法と外国人登録法という二元的な情報把握の体制がとられていました。
3 それが、新たな在留管理制度の導入に伴い、外国人登録制度は廃止され、法務大臣が在留資格をもって我が国に在留する外国人に在留カードを交付し、一元的に外国人の在留情報を把握する体制に改められたのです。
4 新たな在留管理制度の対象となる、つまり在留カードが交付されるのは、入管法上の在留資格をもって適法に日本に中長期間在留する外国人であり、①〜⑥のいずれにも該当しない人です(入管法19条の3)。
① 「3月」以下の在留期間が決定された人
② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①〜③の外国人に準じる者として法務省令で定める人
⑤ 特別永住者
⑥ 在留資格を有しない人
5 在留カードは、対象となる外国人に対し、上陸許可や在留資格変更許可、在留期間更新許可等の在留に係る許可に伴って交付されます(入管法19条の6、20条4項、21条4項)。在留カードは、常時携帯する義務があり(入管法23条2項)、携帯義務違反に対して罰則も設けられていることから注意が必要です(入管法75条の3)。
6 在留カードには、写真が表示され(入管法19条の4第3項)、以下の事項が記載されます(入管法19条の4第1項)。
① 氏名、生年月日、性別及び国籍の属する国又は入管法2条5号ロに規定する地域
② 住居地(本邦における主たる住居の所在地)
③ 在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日
④ 許可の種類及び年月日
⑤ 在留カードの番号、交付年月日及び有効期間の満了の日
⑥ 就労制限の有無
⑦ 資格外活動許可を受けているときはその旨
6 次回は、新しい在留管理制度のもと導入されたみなし再入国許可制度について解説したいと思います。