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2013年6月アーカイブ

1 今回は、入管法改正に伴い、新たに導入された「みなし再入国許可制度」について解説していきます。

  そもそも、「再入国許可制度」とはいったいどのような制度なのでしょうか。

2 再入国許可制度については、入管法26条において、「法務大臣は、本邦に在留する外国人がその在留期間の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続きにより、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。」と規定されています。

  この規定だけでは、分かりにくいですが、要するに日本に在留する外国人が一時的に出国し、在留期間内に再び日本に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可のことを再入国許可といいます。

3 通常、外国人が新たに日本に入国しようとする際は、有効な旅券及び査証が必要となります。しかし、適法に在留している外国人が一時的に出国し、再び日本に入国する場合にまで、新規に入国する場合と同様の手続きを課すのは、あまりに不合理です。そこで、再入国許可制度により、再入国の許可を受けた外国人は、再入国時の上陸申請にあたり、新規入国者には、通常必要とされる査証が免除され(入管法6条1項但書)、簡便な上陸審査手続(入管法7条1項)により上陸許可を受けられることになっているわけです。

4 以上が、通常の「再入国許可制度」の簡単な説明ですが、新たに導入された「みなし再入国許可制度」のもとでは、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人が、出国する際、出国後1年以内に日本での活動を継続するために再入国する場合は、原則として再入国許可を受ける必要がありません。

  ただし、次に掲げる外国人は、みなし再入国許可制度の対象となりません。

   ①在留資格取消手続中の者

   ②出国確認の留保対象者 

   ③収容令書の発布を受けている者

   ④難民認定申請中の「特定活動」の在留資格を持って在留する者

 ⑤日本国の利益又は公安を害するおそれがあること、その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる理由があるとして法務大臣が認定する者

4 なお、みなし再入国許可制度を利用して出国した外国人が、出国後1年以内に再入国しない場合、在留資格が失われるので、注意が必要です。1年以内の再入国を予定している場合であっても、不測の事態が発生すれば1年以内に再入国できない可能性があるような場合には、通常の再入国許可を受けて出国するのが望ましいといえます。

(田中涼)

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1 はじめに

「家族(友人、知人)が逮捕されたのですが、本人と面会できますか?差入れもしたいのですが、できますか?」

 

刑事事件でよくある質問です。これには、まず、逮捕された後の身体拘束手続きの流れの説明から始めなければなりません。

 

2 身体拘束手続きの流れ

⑴ 罪を犯したのではないかと疑われている人のことを「被疑者」と呼びます。テレビなどでは「〇〇容疑者」などと言われることがありますが、だいたい同じ意味です。

 

警察官が被疑者を逮捕した場合、留置の必要があると考えたときは、身体拘束した時点から48時間以内に、書類や証拠物とともに被疑者を検察官に送致する手続きをしなければなりません。警察の逮捕の手持ち時間は48時間だと言われる理由です。

 

警察官から送致された被疑者を受け取った検察官は、留置の必要があると考えたときは、被疑者を受け取った時点から24時間以内に裁判官に勾留を請求しなければなりません。もっとも、検察官が手持ちの24時間の枠をギリギリ一杯使うということはあまりないように感じます。

 

このように、逮捕と呼ばれる段階は、警察官と検察官の手持ち時間合計72時間が最長という建前になっています。

 

⑵ 検察官が勾留請求すると、裁判官が、引き続き被疑者を拘束する理由があるか、必要性があるかを判断します。あると判断された場合は、被疑者は「勾留」され、勾留請求された日から10日間、引き続き拘束を受けます。

 

⑶ この10日間の内に、捜査機関が必要な捜査を終えることができないときは、検察官により、勾留の延長請求がなされる場合があり、裁判官がやむを得ない事由があると判断したときは、最長10日間延長されることがあります。

 

検察官は、原則として当初の勾留10日目までに、勾留延長があった場合は延長された期限までに被疑者を起訴するか否かの判断を迫られます。勾留中に被疑事実と同一事実で起訴すると、自動的に被疑者勾留が起訴後勾留に切り替わり、引き続き2か月間勾留されますが、起訴しない場合には被疑者を釈放しなければならないからです。

 

起訴後勾留は原則2か月とされていますが、一般的には2か月の期限が到来しても判決がなされるまでは1か月ごとに勾留が更新されますので、保釈されない限り判決まで身体拘束が続くことになります。

 

3 面会について

⑴ 被疑者の家族、友人知人も含めてですが、被疑者と面会(接見といいます。)をすることは基本的に可能です。ただし、それには、様々な制約があることに留意しなければなりません。

 

⑵ 刑事訴訟法80条は、次のように定めています。

「勾留されている被告人は、第三十九第一項に規定する者(※)以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。」

 

※ここで出てくる「第三十九第一項に規定する者」というのは、弁護人又は弁護人となろうとする者(以下、「弁護人等」といいます。)のことで、端的に言えば弁護士のことです。ですので、この条文は、弁護士以外の人とも接見したり物品をやりとりすることができますよ、但しそれは法令の範囲内に限られますよ、ということが定められているということになります。なお、この条文は被告人、つまり起訴された後の勾留手続きに関するものではありますが、起訴前の被疑者段階の勾留手続きにも準用されます。

 

具体的には、次のような点に注意しなければなりません。

 

① 接見の申込が受け付けてもらえる時間は、あらかじめ決められています。平日午前9時半から11時半まで、午後1時から4時までなどとされているようですが、留置場所によっても違う可能性がありますので、接見前に電話などで問い合わせるとよいでしょう。留置場所は、被疑者の段階では基本的には警察署の留置場ですが、例外的に被疑者段階から拘置所に留置される場合もありますので注意が必要です。

 

② 回数制限、人数制限があります。被疑者1人につき、1日1回1組まで、1組3人までとされているようです。ですので、接見に行くと、その日に本人が別の人と既に接見を済ませていた場合は、その日はもう接見はできないということになります。接見に行く日がバッティングしないように、家族や友人どうしで連絡をとりあい、調整しておくことが望ましいですね。また、1組あたり3人までとされていますので、4人以上で面会を希望しても、一度に全員は面会室に入れてもらえません。

 

③ 時間制限があります。警察署の留置場では1回15分~20分とされているようですが、接見の混み具合等によって短縮される場合があります。

 

④ 取調べなどの捜査の都合により断られる場合があります。本人が取調べを受けている最中なので接見できない場合や、現場への引きあたり捜査で出かけているとか、勾留質問を受けるために裁判所に出かけている等の理由で、本人が留置場所に居ないので物理的に接見できないことがありえます。留置場所に居るかどうかは、留置場所に電話などで問い合わせると教えてくれる場合がありますので、聞いてみるとよいでしょう。

 

⑤ また、本人が接見したくないと言っている場合も接見できないことがあります。上記の1日の回数制限の関係で、その日に後で別の人に接見をする予定がある場合、その人との接見ができなくなると困るので、本人が断るということもあるようです。

 

⑶ もう一つ注意しなければならいことは、弁護人等以外の人との接見が、裁判官によって禁止されることがありうるということです。刑事訴訟法81条は次のように定めています。

「裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者(※)以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押さえることができる。」

 

これを接見禁止といいます。被疑者が当該被疑事実を否認していたり、共犯者がいるとされている事案、特に集団的に行われたとされる事案においては、裁判官がこの接見禁止命令をする場合が少なくありません。その場合には、弁護人等以外の家族、友人、知人は、接見することはできません。また、物品の授受をすることも禁止されるのが通常です。つまり、差入れ、宅下げ(差入れの反対に、被疑者が家族等に手持ちの物品を持ち帰ってもらうことを宅下げといいます。)が禁止されるということです。もっとも、衣類や書物、食べ物や生活必需品等の差し入れは通常禁止されませんので差入れることができます。

 

この接見禁止は、原則としては起訴されるまでですが、裁判官が必要と判断したときは、起訴後も更新される場合がありますので、起訴されたからといって必ず接見禁止が解けて接見できるわけではありません。

 

もしどうしても本人と連絡をとる必要がある場合には、弁護人等に連絡をとって、伝言を依頼するという方法があります。弁護人等以外の人の接見では、警察の係の人が接見室に同席しますので、会話の内容が知られてしまいますが、弁護人等は立会人 なしで接見することができますので、秘密を守ることができます。

(中野星知)



 

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