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外国人の最近のブログ記事

1 今回は、入管法改正に伴い、新たに導入された「みなし再入国許可制度」について解説していきます。

  そもそも、「再入国許可制度」とはいったいどのような制度なのでしょうか。

2 再入国許可制度については、入管法26条において、「法務大臣は、本邦に在留する外国人がその在留期間の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続きにより、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。」と規定されています。

  この規定だけでは、分かりにくいですが、要するに日本に在留する外国人が一時的に出国し、在留期間内に再び日本に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可のことを再入国許可といいます。

3 通常、外国人が新たに日本に入国しようとする際は、有効な旅券及び査証が必要となります。しかし、適法に在留している外国人が一時的に出国し、再び日本に入国する場合にまで、新規に入国する場合と同様の手続きを課すのは、あまりに不合理です。そこで、再入国許可制度により、再入国の許可を受けた外国人は、再入国時の上陸申請にあたり、新規入国者には、通常必要とされる査証が免除され(入管法6条1項但書)、簡便な上陸審査手続(入管法7条1項)により上陸許可を受けられることになっているわけです。

4 以上が、通常の「再入国許可制度」の簡単な説明ですが、新たに導入された「みなし再入国許可制度」のもとでは、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人が、出国する際、出国後1年以内に日本での活動を継続するために再入国する場合は、原則として再入国許可を受ける必要がありません。

  ただし、次に掲げる外国人は、みなし再入国許可制度の対象となりません。

   ①在留資格取消手続中の者

   ②出国確認の留保対象者 

   ③収容令書の発布を受けている者

   ④難民認定申請中の「特定活動」の在留資格を持って在留する者

 ⑤日本国の利益又は公安を害するおそれがあること、その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる理由があるとして法務大臣が認定する者

4 なお、みなし再入国許可制度を利用して出国した外国人が、出国後1年以内に再入国しない場合、在留資格が失われるので、注意が必要です。1年以内の再入国を予定している場合であっても、不測の事態が発生すれば1年以内に再入国できない可能性があるような場合には、通常の再入国許可を受けて出国するのが望ましいといえます。

(田中涼)

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1 2012年7月9日から新しい在留管理制度がスタートしました。これまでの在留管理制度と何がどう変わったのか、基本的な変更点について数回にわたり解説していきます。

  今回は、新たな在留管理制度のもと、外国人に交付されることになった「在留カード」について述べたいと思います。

2 2012年7月9日以前の旧制度である外国人登録制度においては、日本在留の外国人は、原則として、日本に在留することとなった日から一定の期間内に、居住している市区町村に身分事項や居住地等を届け出て外国人登録をする必要がありました。

  それ以外に、日本に上陸する時や、在留資格を更新する時などには、入管法に基づいた手続きが必要となり、それにより、入国管理官署に当該外国人の情報が把握されていたわけです。

  このように、これまでは、入管法と外国人登録法という二元的な情報把握の体制がとられていました。

3 それが、新たな在留管理制度の導入に伴い、外国人登録制度は廃止され、法務大臣が在留資格をもって我が国に在留する外国人に在留カードを交付し、一元的に外国人の在留情報を把握する体制に改められたのです。

4  新たな在留管理制度の対象となる、つまり在留カードが交付されるのは、入管法上の在留資格をもって適法に日本に中長期間在留する外国人であり、①〜⑥のいずれにも該当しない人です(入管法19条の3)。

  ① 「3月」以下の在留期間が決定された人

  ② 「短期滞在」の在留資格が決定された人

  ③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人

  ④ ①〜③の外国人に準じる者として法務省令で定める人

  ⑤ 特別永住者 

  ⑥ 在留資格を有しない人 

5 在留カードは、対象となる外国人に対し、上陸許可や在留資格変更許可、在留期間更新許可等の在留に係る許可に伴って交付されます(入管法19条の6、20条4項、21条4項)。在留カードは、常時携帯する義務があり(入管法23条2項)、携帯義務違反に対して罰則も設けられていることから注意が必要です(入管法75条の3)。

6 在留カードには、写真が表示され(入管法19条の4第3項)、以下の事項が記載されます(入管法19条の4第1項)。

  ① 氏名、生年月日、性別及び国籍の属する国又は入管法2条5号ロに規定する地域

  ② 住居地(本邦における主たる住居の所在地)

  ③ 在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日

  ④ 許可の種類及び年月日 

  ⑤ 在留カードの番号、交付年月日及び有効期間の満了の日 

  ⑥ 就労制限の有無 

  ⑦ 資格外活動許可を受けているときはその旨 

6 次回は、新しい在留管理制度のもと導入されたみなし再入国許可制度について解説したいと思います。

(田中 涼)

1 最近、円安が進行していることも影響し、今年4月に日本を訪れた外国人旅行客の数が90万人を超え、過去最多を記録したようです。

  今回は、外国人が日本を訪れるために必要となるビザ(査証)について述べたいと思います。

2 外国人が日本に上陸するためには、原則として、有効な旅券(パスポート)を所持していることのほかに、旅券に有効な査証(ビザ)を取得していることが必要とされています。

  査証とは、日本国領事館等が、外国人の所持する旅券は真正なものであって、入国目的からみて日本への入国は問題ないと判断されることを旅券に表示(査証印を押す)したものをいいます(黒木忠正『入管法・外登法用語辞典』75頁(日本加除出版、平成13年))。

  日常会話では、「ビザを更新した。」といった具合に、「在留資格」のことを'ビザ'ということがままありますが、ここでいう査証(ビザ)とは異なる意味で使われていることにご注意下さい。

3 査証は、外国人が日本に到着後国内で取得することができないことから、事前に外国にある在外日本領事に対してビザ申請を行い、取得しなければなりません。査証はあくまで、日本国領事館等による入国審査官に対して、当該外国人の日本入国について問題がないとする推薦するものにすぎないので、有効な査証があれば、通常は上陸が許可されますが、査証を所持していても、入国の際に上陸拒否事由(入管法5条1項各号)が発覚するなどすれば、上陸が許可されないことがあるので注意が必要です。

4 ここまで読んで、「外国人が、日本に観光のために入国するような場合にも本当に査証(ビザ)必要なのかな?」と疑問に思った人もいるかもしれません。さきほど、「外国人が日本に上陸するためには、原則として、有効な旅券(パスポート)を所持していることのほかに、旅券に有効な査証(ビザ)を取得していることが必要」と述べたように、確かに査証(ビザ)が不要な場合もあります。

  すなわち、査証免除取決め等により査証を要しないこととされている国の国民の旅券、再入国の許可を受けている者の旅券又は法務大臣から難民旅行証明書の交付を受けている者の当該証明書には、査証が不要であることが入管法6条1項但書に規定されています。

  日本においては、平成23年5月時点において、計61の国と地域との間で一般査証免除措置を実施しており(外務省HP http://www.mofa.go.jp参照)、これらの諸国・地域人は、商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的とする場合には、入国に際して査証を取得する必要はありません。


(田中涼)




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